SSブログ

物理学が全てを作った [科学]

  ニューヨーク市立大学シティーカレッジの「ミチオ・カク」教授(素粒子の理論物理学者)がYouTubeに載っている講義の中で、次のようなことを言っている。(ここから抜粋)


ところで時々こんな質問を受ける。
教授、量子物理学は私たちの身近なところで役立つことをしてくれてきたんですか?
私はこう答える。
量子物理学はトランジスタを発明した。レーザーを発明した。インターネットの構築を手助けしたとね。ワールドワイドウェッブは素粒子を研究していた物理学者が発明した。だから物理学が私たちにしてくれたことはという問いに対する私の答えは全てだ。世界経済も量子物理学に依存している。さらに忘れないでもらいたい。TVやラジオ、レーダーや電子レンジを作りだした。病院で使われているモノもいっさいがっさい物理学者が作り出した。X線装置、MRI、CTスキャンなどだ。さらに我々物理学者が宇宙計画を立案した。宇宙船を設計し、GPSシステムを構築した。物理学が私たちに何をしてくれたか?という問いに対する答えは全てだ。


 私がカク・ミチオは流石だなと思うのは、赤線の部分についてもはっきりと言及していることだ。(日本の物理学者でこのことが言える人ってどのくらいいるのだろうか?)そのうえで、彼は前者のトランジスタやレーザーなどを含めて、物理学者が全てを作ったと言っている。

 これはさらに言うと、21世紀の物理屋の仕事の中心が、前者のものから後者の赤線のものへと移っていくだろうことを暗示させる内容でもある。21世紀は「モノ」ではなくて「知能」を作る時代になると思う。もちろん「モノ」自体がなくなるわけでもないし、モノつくり自体がなくなるわけでもない。しかし、「知能」を作ることが21世紀のメインテーマになることは間違いないと思う。

 今人類がこの地上で建造できるもので最も複雑なものといえば、たとえばそれは、CERNのLHCになるのだろう。またはニミッツ級の原子力空母になるのかもしれない。(ニミッツ級の原子力空母は一隻でおよそ、5~6千億円ほど。空母2隻でCERNのLHCに匹敵する金額になる。)どちらもそのハードの巨大さには圧倒されてしまうが、それらをシステムとして見た場合の主役は間違いなくソフトウエアだ。また、これくらい巨大で複雑なシステムではソフトウエアで対応せざるを得なくなってしまう。

 人類が、「知能」を作れるようになった暁には、複雑系の科学(サイバネティックス)は完成されているはずだ。それは「還元主義」だけでは説明のできない新しい完成された科学の出現を促す。その時は、自律的なソフトウエアは「エージェント」として完成されたシステムになっているはずだ。

by チイ


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

フォン・ノイマンがヨーロッパの数学界の法王になっていたら? [科学]

 日経サイエンスを見ていたら、今年は一般相対論100年の年になるそうだ。(一般相対論が完成したのは1915年。着想から完成までおよそ8年の歳月を要している。)実は私は2013年03月11日に書いたブログ(ワーグナー生誕200年〜創造と破壊〜)の内容で嘘を書いてしまって、その後訂正したのだが、私の頭の中でいつの間にかドイツの大数学者のリーマンとヒルベルトがごっちゃになってしまっていた。

 それで今回改めて日経サイエンスの記事を読んでいて思ったのだが、アインシュタインは一般相対性理論の数学的な枠組みを完成させるのに、リーマン→ヒルベルトと二世代にわたってドイツの大数学者と関係している。ガウス→リーマン→ヒルベルトに至る流れは、音楽の世界で言えばドイツの三大B(バッハ→ベートーベン→ブラームス)に相当するもので、ドイツの黄金期を支えた数学の世界の金字塔だ。リーマンはアインシュタインよりは1世代前の人になるが、アインシュタインが一般相対性理論を記述する数学的な枠組みとしてリーマン幾何を採用したことで関係しているし、ヒルベルトはその最終的な方程式を見つける過程で相談したことで、その後先取り権競争に発展してしまっている。

 最後の方は、アインシュタイン、ヒルベルト双方共にかなり嫌な思いをしたようで、実際にヒルベルトも一般相対性理論の方程式に関する先取り権はほしかったようだ。ヒルベルトがアインシュタインから一般相対論の物理的なアイデアを聞いた時点で、数学的な道具を扱う能力に関してはヒルベルトの方に一日の長があったわけで、アインシュタインとしてもいつヒルベルトに追い越されてしまうのではないかという恐怖との戦いでもあったようだ。

 話は飛ぶが、フォン・ノイマンはゲッチンゲン大学でヒルベルトに師事している。ヒルベルトもフォン・ノイマンのことはたいそう気に入って、本来なら彼の後を継いでヨーロッパの数学界の法王の存在になっていたはずだ。(丁度、ガウスが若き日のリーマンの才能を見出したように。)しかし、実際にはヒトラーのナチスが台頭してきて、アインシュタイン、フォン・ノイマン共に海を渡ってアメリカに亡命してしまう。

 改めて思うのは、ドイツ黄金期の最上の文化を引き継いだのは、当のドイツ人ではなくてそれはユダヤ人であったということだ。数学の世界だけではなく、音楽の世界でもこの頃には、ドイツの最上の文化を引き継いだのは、当のドイツ人ではなくてユダヤ人になってしまっていた。そしてそれは結果として、まさにヒトラーやワーグナーが最も恐れたとおりになってしまった。(民族の純血と言う意味では。)

 歴史にifはないと言われるが、もしヒトラーが現れないで、フォン・ノイマンがヒルベルトの後を継いでヨーロッパの数学界の法王になっていたとしたら、歴史はどのように変わっていたのだろうか?ドイツは今でも世界の文化の中心だったかもしれない。もしヒトラーがユダヤ人を大量虐殺しなかったら、現時点でAGIは既に開発されているかもしれない。国が栄えるとはどういうことなのか?一般相対性理論から100年目の年に色々と考えさせられてしまった。


by チイ


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

26文字のアルファベットで表される言葉の世界(ロゴスの世界) [科学]

 日本人は、ハードウエアは得意なのに、何故ソフトウエアが苦手なのだろう?ということを考えていた時、養老孟司さんのyoutubeのビデオを見ていて、なるほどな~と思わされることがあった。

 欧米の一神教の世界は、まず最初に「言葉ありき」の世界。言葉にならないものは、存在しない世界。まず最初に神の言葉があったところから始まる。そしてその言葉は、26文字のアルファベットの組み合わせで全てが表現できる。人間の意識に上ることは全て26文字のアルファベットの組み合わせで表せる。

 日本の自然科学では、もっぱら「唯物論」ということがことさらに強調されるが、これが工学と結びついて、日本人を所謂「モノバカ」にしてしまっている。ただ、養老さん曰く、唯物論の本当の意味は、「唯物」=「物」ではなくて、英語の「Materialism」=「材質」であるとのこと。もともとの意味は、欧米の言葉が全て26文字のアルファベットの組み合わせで表されるように、全ての物質はある決まった数の要素の組み合わせからできている(原子論)ということらしい。(養老さんは、これをアルファベット世界のものの考え方と言っている。)

 現在の日本では、「目に見える物」が絶対的な価値観になっている。言葉は、欧米の言葉と違って、それは政治家の言葉に代表されるように、嘘を言ったり、建前であったり、どちらかというと「いい加減で信用できないもの」というイメージで捉えられがちだ。

 最近ちょっと気が付いたことがあった。盛田(ソニー創業者の盛田昭夫氏)さんの頭の中は、山本五十六のそれと全く同じだということ。盛田さんは、戦争末期アメリカが原爆を開発した際、この戦争は直ちに止めるべきだと言ったらしいが、少なくとも太平洋戦争の帰趨を決定した「空母戦」からは何も学んでいない。盛田さんは、最後までソフトウエアの本当の意味を理解していなかったように思う。要は、盛田さんも山本五十六も典型的な日本人なのだ。(それでも、二人とも愛すべき日本人ではあるのだが。)盛田さんに代表される日本の物理屋は、唯物論者の代表格のように言われることが多いが、少なくとも欧米の本物の物理屋は決して「モノバカ」ではないと思う。(それはWorld Wide Webがティム・バーナーズ・リーを中心としたCERNの物理ファミリーの中から生まれた事実を見ても明らかだ。)

 「唯物論」を日本人が言うところの「物」の世界と捉えたとしても、欧米にはそれと対をなすものとして、26文字のアルファベットで表される「言葉」の世界がある。そして、その世界は「記号(Logos)」の世界として、言葉以外にも色々な所で登場してくる。物理の王道である「要素還元主義(Reductionism)」は現在、超玄理論(superstring theory)に到達して、そこでは、粒子は11次元の弦の振動で表現される。メンデルは、「メンデルの法則」で生物をはじめて記号化した。今現在、人のDNAは4種類の塩基の記号列から構成されるものとして既に解読されている。人工知能の分野では、「記号創発ロボティクス」のような構成論的アプローチが花盛りである。音楽では、その記号列が「The World of Chord」になっているし、プログラミングではそれが「The World of Code」になっている。Googleはロゴスの王国の盟主である。

 残念ながら日本には、この「26文字のアルファベットで表される言葉の世界」は無い。でも21世紀は、日本人の得意な「物の世界」だけを振り回していたのでは空回りしてしまうと思う。26文字のアルファベットで表される言葉の世界(=ロゴスの世界)に、日本人も真剣に向き合わないと、日本にとっての没落の世紀になってしまう恐れがある。

by チイ


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

情報と人の脳の進化 [科学]

 最近NHKの番組で作曲家、「佐村河内守」の特集をやっていた。聴覚を完全に喪失していて、現代のベートーベンと言われている人で交響曲第1番<HIROSHIMA>はクラシックでは異例ともいえる10万枚の売り上げを突破して、現在世界でも、現代を代表するシンフォニー作曲家として注目を集めているらしい。私は、彼のことはそれまで全然知らなかったので、Webで検索をしていると、ある人が、コメントか何かに、本物の交響曲はドイツ人(ゲルマン民族)にしか書けないというような趣旨のことを書いていて気になった。確かにクラシック音楽、中でも特にシンフォニーの作曲はこれまでは、ドイツの独壇場と言ってもいいような状態である。

 話は飛ぶが、これも最近BSの番組で第2次世界大戦中にイギリスで作られた世界で最初の真空管を使ったコンピュータ、「コロッサス」の存在を知った。英数学者タットのアイデアをエンジニアのトミー・フラワーズがドイツの「ローレンツ暗号」を解読するためのマシンとして製作したらしい。一般に、真空管を使った世界初のコンピュータは、アメリカが大戦中に大砲の弾道計算を行うために開発した「ENIAC」が有名だが、このコロッサスの存在は戦後も暫くの間は極秘事項で、世間的に日の芽を見ることはなかったようだ。だが、このマシンのおかげでドイツのローレンツ暗号は連合国側に筒抜けとなり、ドイツ敗戦の大きな要因になったと言われている。

 音楽は、西洋で自然科学が発達して「音」が科学的に解明されるようになって、複音楽(ポリフォニー)になった。そのため作曲で同時に多くの音を扱わなくてはいけなくなり、それに伴って人の脳も多くの情報が扱えるように進化したと考えられる。和音自体もより重厚で複雑な和音へと進化をしていっている。この進化に一番適応したのがゲルマン民族だったのだろう。ドイツが一番輝いていた19世紀のはじめ頃から20世紀のはじめ頃までの100年間くらいの間は、クラシック音楽(シンフォニー)だけでなく、数学、物理学、医学など幅広い分野でドイツが素晴らしい業績をあげているのは偶然ではない。

 一方、アングロサクソン(イギリス人)は、音楽で見る限りドイツ人には到底かなわない。ドイツのお抱え作曲家のヘンデルがいるくらいで、見るべき様な作曲家はほとんどいない。しかし、イギリスにあって、ドイツになかったものがひとつだけあった。それは膨大で複雑な情報を機械に処理させる技術である。暗号のような膨大で複雑な情報は、人間の頭の中だけで処理するのは限界があって、それをマシンにやらせられるように人の脳が進化したと思われる。実際、この間、イギリスではアラン・チューリング、アメリカではフォン・ノイマンなどの優秀な計算機関係の科学者を多数輩出している。

 戦後は、コンピュータ開発の覇権はアングロサクソン(イギリス)からWASP(アメリカ)に移った。コンピュータは、フォン・ノイマンが提唱したプログラム内蔵方式のフォン・ノイマン型のコンピュータが主流となって、それは現在に至るまで進化を続けてきている。そして最近では、御存知のように世界中にあるそれらのコンピュータをネットで繋いで、スタンド・アローンのコンピュータの時代とはまた別次元の複雑さの様相を呈して来ている。今、まさにWASPの頭の中は、この途方もない膨大で複雑な情報を扱えるように進化している過程なのだと思う。

 最近、コンピュータと将棋の棋士の電脳戦で、コンピュータが3勝1敗1分けの成績で棋士を圧倒した。しかし、このコンピュータは従来のフォン・ノイマン型のコンピュータで、それは単に人間がプログラムしたとおりに動いているに過ぎない。しかし、次世代のAI研究では、既にニューロン・オートマトン型のcognitive computer(認識するコンピュータ)の開発も始まっている。このコンピュータの開発に成功すれば、人がコンピュータに将棋のルールを教えて、後は現在までに蓄積されている将棋の棋譜をデータとしてコンピュータに入力してやれば、後はコンピュータが棋士との対戦で自らが学習しながら将棋を指していくことも夢ではなくなる。フォン・ノイマン型のコンピュータとcognitive computerを組み合わせれば、序盤から中盤かけての大局感が必要なところはcognitive computerを使い、中盤から終盤にかけての論理的な詰めの間違いが許されないようなところではフォン・ノイマン型のコンピュータを使うといったような合わせ技も可能になってくるだろう。

 人間が作るルールには、①人が自然から学んで教えてもらうルールと、②人が人間のために作るルールの2つがあるように思う。この2つのルールのうちで、人間の知性の限界を越えさせてくれて、人間の脳を圧倒的に進化させてくれるものは①のルールだと思う。実際に欧米人の脳は①によって、これまで劇的に進化してきていると思うし、今後も進化していくだろう。①が無い状態で、②だけでやろうとすると、人はすぐに閉塞状態に陥ってしまう。今の日本の状況はまさにそれだと思う。②の本当に良いルールというのも、結局は①のルールにその基盤があるように思う。芸術、経済学や政治学、社会学にしても①に基盤を持たないで人間本位で作ったルールには本当にいいものはないように思う。これからの日本人の大脳皮質の進化ということに関して、もっと真剣に考える時期にきているように思う。

 by チイ


nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

Higgs within reach [科学]

ヒッグス粒子の最新の研究成果について欧州合同原子核研究所(CERN)が4日発表した統一見解の全文(邦訳)は次の通り。

 〈長年探索してきたヒッグスボゾンとみられる粒子をCERNの実験で観測〉

 ジュネーブ発、2012年7月4日

本日のCERNでのセミナーは、メルボルンで開かれる今年の重要な国際会議ICHEPの序幕となるものであるが、そこでATLASとCMSの両実験は長年続けてきたヒッグス粒子の探索に関して最新の暫定結果を発表した。両方の実験ともに質量125~126GeV(ギガ電子ボルト)付近に新粒子を観測した。

 「私たちは126GeV付近の質量領域に5シグマ程度(高い確度)の顕著な新粒子の信号を観測した。LHCとATLAS測定器の非常に優れた性能と、多くの人の多大な労力により、この素晴らしい結果が出てきた」。ATLAS実験代表者のファビオラ・ジャノッティ氏は語る。「しかし、この結果を論文として正式発表するまでにはもう少し時間が必要である」

 「今日見せる結果はまだ暫定的なものであるが、125GeV付近に5シグマの信号が見えているということは画期的だ。これはまさに新粒子である。ボーズ粒子(整数のスピンを持つ粒子)であることが分かるので、これまで発見されたボーズ粒子の中で最も重いものだ」。CMSの実験代表者のジョー・インカンデラ氏は語る。「これが意味するものは非常に重要で、だからこそ私たちは非常に念入りに解析と検証を進めなくてはいけない」

 「この結果には興奮を禁じ得ない」。CERNの研究担当副所長のセルジオ・ベルトルッチ氏は続ける。「昨年、私たちは『2012年にはヒッグス粒子のような粒子を発見するか、標準理論がいうヒッグス粒子を否定できる』と言った。非常に慎重に進めないといけないが、私には今や重要な分岐点にいると思われる。この新粒子が観測されたということで、さらに精密な理解をするための今後の道筋が見えてきた」

 今回、セミナーで見せた結果は暫定的なものである。2011年と2012年に収集したデータを基にしているが、2012年のデータはまだ解析途中にある。今回の解析結果の最終公表は7月末になると考えられる。LHCの両実験がさらにデータを収集した後、今年中には今回の観測結果の全体像が見えてくる。

 この粒子の性質を精密に測定し、宇宙を理解する上でどのような役割を果たしているかを明らかにすることが、次のステップである。この粒子の性質は、長年探してきた標準理論最後の未発見粒子、ヒッグス粒子と一致するのか、あるいはもっと奇妙な粒子であるのか。標準理論は、われわれ自身や宇宙で実際に見えている物質を形作っている基本粒子の性質と、その間に働く力を記述する理論である。しかし、われわれが観測できる物質は宇宙全体のわずか4%に満たないと考えられている。ヒッグス粒子の性質が標準理論の予想と異なることが分かれば、まだえたいの知れない宇宙の96%の成分の理解につながる可能性がある。

 「自然を理解する上での新たな段階に入った」。CERN所長のロルフ・ホイヤー氏は語る。「ヒッグス粒子とみられる粒子の発見は、その詳細な研究へと続いていく。たくさんのデータをためることで、新粒子の性質をさらに調べることができ、そこからわれわれの宇宙のほかの謎を解き明かすことができるかもしれない」

 新粒子の特徴をきちんと同定するには、多くのデータと時間が必要だ。しかし、ヒッグス粒子がどのような形で現れようとも、物質の基本構造に対するわれわれの理解は、今まさに次の段階に進むといえる。

http://public.web.cern.ch/public/

by チイ


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

LHC稼動開始 [科学]

昨日、欧州合同原子核研究機関(CERN)のLHC(Large Hadron Collider)が稼動開始し、日本時間の午後4時頃に最初のビーム出しに成功したようである。最初の実験として、陽子を光速に近い速度で正面衝突させて、人工的に「ビッグバン」を再現し、「ヒッグス粒子」(ヒッグス粒子は物質に質量を与えると言われている素粒子。)などの未発見の素粒子の観測が2ヵ月後くらいから始まる。またこの衝突実験でミニブラックホールの生成も観測される可能性があるらしい。ヒッグス粒子の検出器「アトラス」は日本のメーカなど日本人が中心になって建設されたモノのようである。EUを中心とした世界の頭脳が集結したこの巨大プロジェクトから、今後どんな成果が出て来るのか目がはなせないところだ。期待されている成果はざっと以下のようなものがある。

・クォーク・グルーオンプラズマの生成とその物理的構造の解明

・ヒッグス粒子の発見

・超対称性粒子の発見(含むダークマター(ニュートラリーノ))

・ミニブラックホールの検出(含む余剰次元理論の検証)

・WLCG(World-wide LHC Computing Grid)

(日本の現地リポーターの解説で、このプロジェクトが私達の生活には直接何の役にも立たないということを強調していたが、なぜそんなどうでもいいことを言わなければいけないのだろう?その時間分、もっと純粋に科学をやっている現場の人達のワクワク、ドキドキ感や、その科学的内容などについて詳しくレポートしていただきたいものである。)

<LHC関連のWebサイト>

http://public.web.cern.ch/public/

http://lhcathome.cern.ch/

by チイ


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:学問

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。