SSブログ

26文字のアルファベットで表される言葉の世界(ロゴスの世界) [科学]

 日本人は、ハードウエアは得意なのに、何故ソフトウエアが苦手なのだろう?ということを考えていた時、養老孟司さんのyoutubeのビデオを見ていて、なるほどな~と思わされることがあった。

 欧米の一神教の世界は、まず最初に「言葉ありき」の世界。言葉にならないものは、存在しない世界。まず最初に神の言葉があったところから始まる。そしてその言葉は、26文字のアルファベットの組み合わせで全てが表現できる。人間の意識に上ることは全て26文字のアルファベットの組み合わせで表せる。

 日本の自然科学では、もっぱら「唯物論」ということがことさらに強調されるが、これが工学と結びついて、日本人を所謂「モノバカ」にしてしまっている。ただ、養老さん曰く、唯物論の本当の意味は、「唯物」=「物」ではなくて、英語の「Materialism」=「材質」であるとのこと。もともとの意味は、欧米の言葉が全て26文字のアルファベットの組み合わせで表されるように、全ての物質はある決まった数の要素の組み合わせからできている(原子論)ということらしい。(養老さんは、これをアルファベット世界のものの考え方と言っている。)

 現在の日本では、「目に見える物」が絶対的な価値観になっている。言葉は、欧米の言葉と違って、それは政治家の言葉に代表されるように、嘘を言ったり、建前であったり、どちらかというと「いい加減で信用できないもの」というイメージで捉えられがちだ。

 最近ちょっと気が付いたことがあった。盛田(ソニー創業者の盛田昭夫氏)さんの頭の中は、山本五十六のそれと全く同じだということ。盛田さんは、戦争末期アメリカが原爆を開発した際、この戦争は直ちに止めるべきだと言ったらしいが、少なくとも太平洋戦争の帰趨を決定した「空母戦」からは何も学んでいない。盛田さんは、最後までソフトウエアの本当の意味を理解していなかったように思う。要は、盛田さんも山本五十六も典型的な日本人なのだ。(それでも、二人とも愛すべき日本人ではあるのだが。)盛田さんに代表される日本の物理屋は、唯物論者の代表格のように言われることが多いが、少なくとも欧米の本物の物理屋は決して「モノバカ」ではないと思う。(それはWorld Wide Webがティム・バーナーズ・リーを中心としたCERNの物理ファミリーの中から生まれた事実を見ても明らかだ。)

 「唯物論」を日本人が言うところの「物」の世界と捉えたとしても、欧米にはそれと対をなすものとして、26文字のアルファベットで表される「言葉」の世界がある。そして、その世界は「記号(Logos)」の世界として、言葉以外にも色々な所で登場してくる。物理の王道である「要素還元主義(Reductionism)」は現在、超玄理論(superstring theory)に到達して、そこでは、粒子は11次元の弦の振動で表現される。メンデルは、「メンデルの法則」で生物をはじめて記号化した。今現在、人のDNAは4種類の塩基の記号列から構成されるものとして既に解読されている。人工知能の分野では、「記号創発ロボティクス」のような構成論的アプローチが花盛りである。音楽では、その記号列が「The World of Chord」になっているし、プログラミングではそれが「The World of Code」になっている。Googleはロゴスの王国の盟主である。

 残念ながら日本には、この「26文字のアルファベットで表される言葉の世界」は無い。でも21世紀は、日本人の得意な「物の世界」だけを振り回していたのでは空回りしてしまうと思う。26文字のアルファベットで表される言葉の世界(=ロゴスの世界)に、日本人も真剣に向き合わないと、日本にとっての没落の世紀になってしまう恐れがある。

by チイ


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。