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資源争奪戦 [環境]

 今年は年明け最初に「資源争奪戦」という題の本を読んだ。皆さん、今我々が石油や天然ガス、鉄鋼石や銅、レアメタルや水といった資源を年間どのくらい消費して、それらの資源が地球上に後どれくらい残っているかといったような具体的な数値を御存知ですか? 資源価格は今後再び高騰し、もう戻らないとも言われています。資源争奪戦、資源ナショナリズムの流れは既に始まっています。

 2030年前後には地球は「臨界点」を迎えてしまう可能性が高いと言われています。「資源の枯渇」(原油は楽観的に見積もっても2030年前後にはピーク・オイルを迎える)、「地球温暖化」(地球の平均気温が18世紀の産業革命前に比べ2度上昇してしまうのも、早ければ32~40年との見方がある)、「人口問題」(世界人口が地球の養える人口80億人を超えるのは25年)と一見バラバラに進んでいる現象が30年前後にひとつに繋がって、ついに臨界点に達してしまうというわけです。

 今我々は、「地下系」から「太陽系」への移行を急いでいます。「地下系エネルギーに依って立つ社会」を「プランA」、最終的な目標である「太陽系エネルギーに依って立つ環境的に持続可能な経済」を「プランC」とすると、我々は今その間の「つなぎ」の移行期間の「プランB」にいます。

 ここで重要なことは、「プランB」の移行期間にたとえば、50~60年といった時間を要しているような時間的余裕は我々には残されていないということです。一番懸念されることは、中国やインドなどの人口大国が経済成長する段階で、これまでの日本のような20世紀型の経済成長をなぞることで「プランB」の移行スピードを遅らせてしまうことです。今日本の景気は中国などの途上国の景気に支えられているが、このまま日本が従来製品を中国に輸出し続けて、中国の「プランA」的な成長を後押ししてしまうことが一番恐ろしい。(これをやってしまうと、自国のCO2、25%削減の意味なんてないようなものです。)最近よくこれからの世界のマネーの流れていく行先は東アジアしかないということで、21世紀はアジアの時代だという人もいるが、残念ながら日本にも中国にも「プランC」に移行できるだけのパラダイムシフトをおこせる力はまだない。

 先日、アップルからiPadが発売になって話題になりました。電子書籍ができることは確かにすばらしいことではあるが、それができることでの「脱物質化」の効果はどれくらいあるのだろうか?電子図書になることで、従来の紙の図書が減ることで、森林の伐採はどれくらい抑えられるのだろうか?またiPadのハードを携帯やデジカメのように数年ごとにモデルチェンジして客に買い替えさせれば、ハードのゴミの山をつくってしまう。結局、従来の紙の書籍も電子書籍も増えましたでは、メーカーはそれが一番いいのかもしれないが、その前に地球がパンクしてしまう。

 iPadなどもそうだと思うが、これからは企業が新製品を出した場合、その製品の対環境効果の目標を具体的な数字で提示していかないと、多分これからはやっていけなくなると思います。前ブログで書いた「地球に残された時間は?」でも書いたように、ほとんどの科学者が地球の環境問題は後5年くらいの間になんとかしないと、取り返しのきかない事態になってしまうと言っていますが、「プランB」は本当に時間との戦いになってしまうことを認識する必要があると思う。そしてその答えはこの10~20年の間に出てしまうということです。

 byチイ


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地球に残された時間は? [環境]

 この夏の気象はちょっと異常でした。台風が上陸してないにもかかわらず、局地的に大雨が降ったり、台風が赤道下ではなく、日本近海で発生したり。日本ではあまり起きないはずの竜巻の規模や発生頻度もここ数年増加しているように思います。

文芸春秋の8月号に作家で東京都知事の石原新太郎氏が書いた文章があるのですが、その最後の方に「地球に残された時間は?」という題で書かれている文章の中から、心に留めておいてほしい、気になる部分をいくつか抜粋してみました。石原氏は、孫が結婚して子供を生むまで地球の寿命がもつかどうか心配しています。もう本当に残された時間は余りないのです!!

                          (抜粋)

二十年ほど前に、筋委縮性側索硬化症という難病に冒された、ブラックホールの発見者でもあるイギリスの物理学者、ホーキング博士の来日公演を聞いたことがあります。聴衆の一人が、「この宇宙に地球ほどの文明をもった星がいくつくらいあるのでしょうか?」と質問したら、即座に「二百万ぐらいあるでしょう。」と彼は答えた。別の聴衆が、「その中には地球より進んだ文明をもつ星も当然あるはずなのに、我々が実際に宇宙人や宇宙船を目にすることがないのはなぜなのか?」と尋ねたら、これまた言下に「地球ぐらいの文明をもつと自然の循環が狂ってきて、加速度的に不安定になる。そういう惑星は、宇宙時間では瞬間的に滅びてしまうからだ。」との答えが返ってきた。宇宙時間での瞬間とは地球時間で百年程度を指すとのことだったが、本人が明日をも知れぬ重病に冒されているだけにその予言的な発言はとても印象的だった。

ロンドンのリビングストン前市長が提唱して作った、世界五大陸の四十六都市が協力して地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減に取り組む「C40」という組織があります。昨年十月には私が言い出して東京でその専門家の会議が行われたが、参加した数十人の学者のうち四分の一ぐらいは、「地球環境の悪化はもはや引き返しの効かない事態だ」と言い、残りは「あと5、6年のうちに相当なことをしなければもう間に合わない」との認識だった。

そうした宇宙における地球の存在の安危にかかわる大前提を踏まえない限り、目の前の経済危機なり国同士のパワーバランスといった問題もまるで意味がないといことになりかねない。統計から割り出せば、一秒間に円に換算して三百二十万円もの軍事費が使われているそうですが、中国がいくら軍拡しようが、インドが空母を持とうが、北朝鮮が核を持とうが、後になってみればまったく無意味な努力でしかなかったという全地球的な事態が到来するのではないだろうか?


 

 私、最近よく思うのです。世界は今目先の経済危機の問題で、意図的に地球環境問題のことを避けて隠しているなと。見ているとあいかわらず、アメリカや日本は数百兆円、数十兆円という巨額の財政投入をして経済を更に拡大することしか考えてないし、大企業も儲かってないのに、目先の社債の償還をするために、更なる数千億円といった社債の発行をして借金を増やし続けています。20世紀の拡大成長路線をいまだ続けています。賢明な方ならもうお分かりだろうと思いますが、「今国や企業が借金している負債を後の世代につけを回さないで返済できるくらい世界が経済成長する」ということと、「後の世代の地球環境を破壊しない」ということは両立しないのです。一方が成り立てば、他方は必ず成り立たなくなります。最悪、両方ともダメになる可能性も十分にありますが、今はどちらか一つに焦点を絞るべきです。で、どちらを選択するの?となった場合、これはもう選択の余地はないはずです。後の人類のことを考えると、「地球環境を守る」という方が優先度ははるかに高いはずです。結局は、今の国や大企業の借金は返済できないと思います。

石油も後50年くらいで枯渇してしまうといわれています。そろそろ、枯渇に向けて、最後どのようにして節約して使っていくかを考える時期に来ていると思います。飛行機などはジェットエンジンに替わる、車のような重たいバッテリーを搭載した電気飛行機はまだ無理だと思います。寒い地方では生きていくためにはある程度の石油を燃やさなくてはいけません。今中国が世界中で買い占めをしているIT製品製造に不可欠の「レアメタル」も今後世界でどのように少ない量を確保して使っていくか考える時期に来ています。今のコンパクトデジカメに代表されるような、短期間使わせてすぐに次の製品を買わせるような使い捨て製品はもう本当に止めるべきです。ソフトウエアはこれから「クラウド・コンピューティング」で「モノ」(個人のソフトウエアの所有)から「サービス」への流れが加速していくはずです。ハードウエアはソフトウエアほど簡単ではありませんが、クラウドの流れに乗って、できるものから「サービス化」がどんどん始まっていくと思います。20世紀の「マイ~」に代表されるような、個人がたくさんのモノを所有することが富のステイタスだった時代は終わったのです。

音楽家の坂本龍一が「More Trees」(←リンクしてあるので、興味のある方は御覧になって見てください!)の運動をやっています。これは自身がその木のオーナーになって、里山に植林していこうというものです。現在失業している人達を使って、世界中に緑を植える活動をどんどん展開していけばいいと思います。大都市などの中にももっと緑を植えるようにすれば、ヒートアイランド現象も相当低減できます。補足しておきますと、自然界の入出力関係は通常、シグモイド・カーブ(Sの字を左右に引き伸ばしたような非線形性)をとります。そのため多くの現象がある閾値を超えるまでの変化が微小で、よほど注意深く観察してないとその変化がほとんど分からないのです。ただ、ひとたびその閾値(ティッピング・ポイント)を超えてしまえば、それは二度と元には戻りません。その日は本当に不意に突然やって来るのです。熱帯雨林を伐採して平地をさらしてしまえば、それは二度と元の熱帯雨林の生態系には戻りません。温暖化で極の氷の氷解がある閾値を超すと、その流れはもはや止めることができず全解し、その結果海流の流れが止まり海は「ドブ」となって生き物は全て死に絶えます。すべてのものが複雑に関連し合っている地球の流れを止めてはいけないのです。

最後に、こんな文章で締めくくられていました。

毛沢東は、「矛盾論」の中で、現実の矛盾を真に解決するためには、派生的な矛盾に目を奪われることなく、根源的な「主要矛盾」を認識しなければならないと説いたが、その顰(ひそみ)にならえば、アメリカ人を含めて我々が立ち向かっている主要矛盾とは、自分たちの経済的欲望が人類の拠って立つ自然と衝突しているという矛盾に他ならない。

「たとえ地球が明日滅びるとも、君は今日のリンゴの木を植える」

 by ゲオルグ

by チイ


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