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ユリアンナ・アヴデーエワはすごい [音楽]

(公開をためらっていたので、時機を逸してしまいました。すみません。)

 相聞花伝に久しぶりにきたら、2010年のショパンコンクール覇者を知り、興味を持ちました。とはいえネットの動画で聞きかじった程度で、どの程度すごくてどういう特徴を持つ人なのか判断できずにいたのですが、先日(2010.12/26)N響アワーで、彼女が弾くショパンのピアノ協奏曲第1番を聴くことができたので、感想を述べたい。

 まあ、時の人をN響が取り上げることは不思議ではないにしても、「たかが」ショパンのピアコンの指揮にシャルル・デュトワが当たるか?というのが、曲が始まる直前までの感想。ふーん、さすがショパンコンクールともなると、そこまで格上の指揮者に恭しくお願いするものなのか、すごいステータスだ、というのが、曲が始まってから長いオケの提示部を聴かされていた時の感想。そしてピアノが入った瞬間、あ、これは並の指揮者では合わせられない、と合点した。

 アヴデーエワの演奏を一言で評するなら、自由奔放ということになるだろう。自身の内面から出てくる音楽に、1音たりとも背くこと無く、忠実に音にする。それが可能な強靭なテクニックがあるからこそ、やりたいことの全てを思いのままに実現できる。とりわけすごいのは、ルバートだ。ショパンはルバートがあって当たり前と思われるが、基準となる拍が無闇に延ばされれば、テンポも異常に揺れを感じる(そこに面白さがあった)。それを、オーケストラに対して、1ピアニストが多分「即興的に」(打ち合わせなしに)行うのだからスリリング、どう見ても、オケマンたちは皆、必死の形相だった。(その顔は見物だった(笑))

 思うに、一流のピアニストは何が違うかといえば、体の中に、弾こうとする音楽が場合によっては言語以上に完全に染み渡っていて、いつも弾きこんでいる曲をその場で自在に「今日しか弾けない音楽として」聴衆に提供できること、なのではないか。クラシックなので譜面はあるが、解釈は即興的に決められる、とするなら、譜面の中から何を読み取るべきか、というラインをぎりぎりクリアしている程度では、不可能だろう。音楽が、血となり肉となっている人にのみ許された特権だと思う。

 

 その意味で、アヴデーエワは音楽の化身のように見えてしまった。これからの活躍を祈るばかりだ。

竹内淳


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チイ

昨日は、楽しかったですね。(久しぶりに、昼からアルコールが入ったので、夜、頭が痛くなったしまいました。^^;)

ショパコンの優勝賞金は350万円だそうです。(もっとも優勝者には、ニューコークフィルやN響などとの共演権が与えられるそうですが。)昨年末にやっていた将棋の竜王戦の7戦の対局料が4500万円程度らしいです。(こちらも、それ以外にも副収入があって、結局優勝した渡辺竜王は6~7000万円ほどはもらっているみたいです。)
ポーランドは貧しい国だけれども、ショパコンの権威、5年に1回という出場機会を考えても、優勝者には4~5000万円くらいは出した方がいいと思います。ヤマハのコンサートグランドCFXが3~4台くらい買えるくらいのお金は出した方がいいと思う。350万円ならCFX1台も買えない訳ですから。
by チイ (2011-02-06 18:00) 

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