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今世紀中頃までのコンピュータ・サイエンスの進展がその後の世界を決めてしまうかもしれない [コンピューター]

 コンピュータ・サイエンスはノーベル賞の対象外の分野ではあるが、現在その価値や重要性はノーベル賞以上のものがあると思う。特に自立型AI(AGI)の開発は、その影響がノーベル賞の6分野や数学にまでも及ぶことは必至で、それが完成した暁のインパクトは計り知れないものがある。(その価値は100ノーベルと言ったところだろうか?)そしてその機会はこの20〜30年くらいが勝負になると思うのだが、その機会を逃した国家は、恐らくその後この分野では永遠に後塵を拝することになると思う。そして前にも書いた通り、その敗北はこの分野だけに留まらないで、全ての分野に及んでしまう。


 アメリカやイスラエルや中国が、この分野で熾烈な競争をしている理由がお分かり頂けただろうか?現在、アメリカが中国に対して「貿易戦争」を仕掛けている背景には、この分野で中国に先を越されてしまいかねない危機感の現れでもあるように思う。アメリカはこの分野での競争で中国に負けてしまうと、その後もう取り返しのつかない状況に追い込まれてしまうのが分かっているからだ。世界のパワー・バランスも大きく変わってしまうだろう。日本も今世紀中頃までの研究開発費の半分以上をこの分野に投入していくくらいのメリハリのある予算編成をしていかないと世界での競争には勝ち残れないと思う。


 2018年9月24日のブログにも書いたが、私は2018年度のコンピュータ・サイエンス分野で、中国の清華大学が世界第一位になったことに強い衝撃を受けてしまった。(しかも上位100位内に中華系の大学が1/4も含まれている。)一方で日本はどうかと言えば、最高が東京大学の91位の一校のみ。サッカーのワールドカップで日本代表の順位が良い時で40番台くらいで、8年に一回くらいに割合で2次リーグに出たり出なかったりで、2次リーグでは直ぐに敗退してしまって優勝にはほとんど縁遠いことを考えると、91番というほとんどドンべの順位は、あって無いようなものだと思う。つまり、現在の日本の大学や研究機関で一番旬なコンピュータ・サイエンスを教えられるような機関は存在しないということだ。これに危機感を感じない人はどうかしていると思う。


 これを打開するには、①「日本の優秀なコンピュータ・サイエンスの若い人材を海外の大学に留学させて学ばせる」か、②「海外の優秀な人材を日本の大学や研究機関に召集して教鞭をとってもらう」かのどちらかしか無いように思うが、国としてもその方針もまだはっきりと定まっているわけでも無い。東京オリンピックを中止にして、その予算を全て①や②に投入するくらいの、よほど思い切った大英断をしない限りこのピンチは脱出できなと思うのだが、日本政府の対応は呑気なものである。大学や企業の対応も、もう古くなってしまった分野や製品を自分たちがやって、一番重要な部分は他人任せで手も足も出ないような状況では、これから先が思いやられる。


 日本人が「情報戦」でいつも同じような間違いを繰り返してしまう原因に、「地点は取り戻すことができるけど機会は取り戻すことができない。」という教訓がある。日本人は、後追いでゼロ・サムゲームの応用を戦って陣地(地点)を取り返すことは得意で、実際に「モノ」の時代にはそれはうまく行ったのだが、「情報」の時代にはそれは通用しない。一瞬だけ開いた「幸運の窓」をリスクを冒して掴みにいかない限り、チャンスは決して巡って来ない。受験の「ゼロ・サムゲーム」に馴れっ子になってしまって、それが公平であると思い込んでしまっている教育そのものから変えていかないとこれからの世界での成功は覚束ないと思う。


by チイ


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