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GDPRの施行に思う [経済]

  2018年5月25日、EUのGDPR(General Data Protection Regulation:EU一般データ保護規則)が施行された。早速、EUでは7月18日にグーグルに対してアンドロイド関連で5700億円の制裁金が科せられ、一方フィスブックは先の米大統領選最中の8700万人のユーザデータ流出の件で、CEOのザッカーバーグが米上院公聴会で聴取を受けるという事態にまで陥っている。EUのGDPR施行により、これからシリコンバレーのプラットフォーム企業はどうなって行くのだろうか?

 日本の有識者や企業人の中にも米大手プラットフォーム企業(グーグル、フェイスブック、アップル、アマゾン、etc)の搾取を快く思っていない人は多いと思う。事実、現在のインターネットシステムは一部のプラットフォーム企業の経済的利益を生み出すためのエコシステムに変貌していて、既に破綻してしまっている。それをGDPRという形で、世界最大の立法機関である欧州議会から出てきたことには大きな意味があるように思う。世界に先駆けて、GDPRという普遍的な形でまとめ上げることができたのは、EUでしかできないことだと思う。

 これからのインターネットシステムを考えた場合、GDPRのようなものは必要だと思うし、無いよりは絶対にあったほうが良いのは分かっている。ただ今後、GDPRの思惑通りに世界が回って行くかどうかはかなり疑問だし、多くの問題点を孕んでいるように思う。中にはこれで米巨大プラットフォーマーによる「データ錬金術」は終わるとか、インターネットが1995年段階にリセットされるというような意見もあるようだが、それはかなり難しいと思う。おそらくは両者の思惑の鬩ぎ合いのような事がこれから起こって、私の推測では米巨大プラットフォーマーがかなり有利な条件で均衡して行くのではないかと見ている。

 この米巨大プラットフォーマー対EUの戦いは、別の観点から見ると、米国という国家の名前を借りた世界のユダヤ支配に対する、ヨーロッパのそれもベルリンを中心としたドイツとの戦いとも見ることもできる。新しい冷戦は、現代の新たな「通貨」である個人データの主権と管理を巡る戦いでもある。互いに敵対するのは、個人が自身のデータを管理する絶対的な権利を持っていると信じ、自分の身体や財産と同様の自己主権を行使すべきとする社会と、「プライバシーの死」を納得させる無料のサービスで個人データを蒐集し、バックドアのマーケットによって監視資本主義を積極的に是認する社会との非対称性である。データ経済の民主化は本当に可能なのだろうか?

  EUでは現在GDPRの施行に合わせて、個人データをシリコンバレーのIT巨人から取り戻すべく、既にDECODE(分散型市民所有データ・エコシステム)という欧州委員会のプロジェクトが動いている。これは、人々のプライバシーを保護し、個人データの所有権を与えることを約束し、これにより新しいデジタル経済エコシステムを作り出し、特にデータの保管と共有のための民主的モデルの実現を目指している。DECODEプロジェクトが先導し、今後2年間で個人データ経済の重要な見取り図が示されることが期待されているが、はたしてこれでインターネット第二幕となって、1995年段階にインターネットをリセットできるかどうかは今の所は分からない。

 現在はそれにさらにAIの技術が加わって、自動学習によって自動的に書き換えられていくプログラムは、人間から離陸する。その結果、人間が最初に記述したオリジナル・コードは改変され、ある時点では原形をとどめることなく消滅する。次世代のGDPRの主要なアップデートは、現代のロボット原則の更新を前提に、「AIロボットに、プライバシーの自律的主権を認める」という明示的な追記であろう。次のGDPRは、AIロボットに適用される可能性がある。

 最後に、最近ひとつ面白い論文を見つけました。「超インテリジェント・マシンのための数学的枠組み」(注)という題の論文ですが、この中で述べられている計算が、AIのマスター・アルゴリズム、意識の誕生を示唆しているというものです。この計算が、ある種のフィードバックループを提供し、それがマシンの意識がどのように現れるかの局面であるということらしいです。もう既にこんな段階にまで来てしまっているのですね^^;



by チイ


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