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スーパーインテリジェンス [コンピューター]

 昨年末にやっと待望のニック・ボストロム著の「スーパーインテリジェンス」の和訳本が出ました。この本は今から3年半くらい前に英語の原書が出版されたのを知っていたので、その時に原書を買って読みたかったのだが、かなりのページ数があるので私の英語力では途中で挫折してしまうのは分かっていたので、購入は控えていた。この3年半くらいの間にAIの分野では囲碁と将棋が完全に人間を抜き去ってしまって、本の内容ももうかなり古くなってしまった感はあるが、現在読み進めているが内容は本当に素晴らしいと思う。(注1)

 2015年に出版されたジェイムズ・バラット著の「人工知能」とこのニック・ボストロム著の「スーパーインテリジェンス」の2冊は、AIの一般向けの啓蒙書としては現代人の必読書だと思う。(この2冊だけ読めば、日本語で出ている他の一般向けの啓蒙書は読まなくてもいいです。)ジェイムズ・バラットはマスコミ関係の人でニック・ボストロムは学者(哲学)だが、残念ながら日本には、マスコミや学者で、一般向けにこれほど質、量ともに掘り下げた内容のものを書ける人はいないように思う。逆に戦術レベルのディープラーニングや機械学習などの理工系の書籍は山のように出版されていて、今の日本の現状をそのまま反映しているように思われる。

 今世界は、「自律分散型の社会」を目指して動いているように思われる。今後、スーパーインテリジェンスはこの自律分散型社会にどのように関わっていくことになるのだろうか?

 ITの分野では、現在「第3世代プラットフォーム」の時代に入っています。そこでのkeyテクノロジーは、①デブオプス(DevOps)(注2)、②マイクロサービス、③API連携の3つです。第1、2世代プラットフォーム時代の「ウォーターフォール型」から「デブオプス型」へとソフトウエアの設計手法が変化しているのです。今流行りの言葉で言うと、SoR(システム・オブ・レコード)からSoE(システム・オブ・エンゲージメント)への流れです。

 FinTechの分野でも今はAfter Bitcoin(注3)の流れで、中央銀行や国際送金や証券決済などの分野で本命である「ブロックチェーン」の技術が使われようとしています。ここでも忘れてならないのは中央集権的な権力を行使するためにブロックチェーンの技術を使ったとしてもそれはあまり意味の無いことだということです。ブロックチェーンの技術そのものが自律分散型の社会を目指して作られた技術だからです。このことを忘れると、恐らく中央銀行のデジタル通貨発行などでも世界に遅れを取ることになってしまうと思われます。

 AIの最終ゴールもAGIやASIといった自律分散型の社会だ。今世界の主要な技術やこれから重要になると思われる技術も全てそこを目指して動いているように見える。この流れはおそらくそれを実現するまでは、変わることは無いと思うし、また変えることもできないだろう。

 最後に面白い話をひとつ。デブオプスが行えるようになった最大の理由は、デプロイを自動化したことにあるようです。昔はこの部分はその組織で一番のノウハウを持った優秀なデプロイ職人がやっていたそうです。人間にしかできないと思われていたことをソフトウエアにやらせているわけです。恐らくその最終形がAGIやASIになるんだろうとは思います。人の能力ではとても無理だと思われる一番重要な部分にはASIが鎮座しているはずです。


(注1)高校生くらいの方で、将来AI分野に進むことを考えてられる人は、原書と和訳の2冊を買って、半年か1年くらいかけて両方読み比べて見ることをお勧めします。

(注2)デブオプスは別名「ピザ2枚のルール」とも言われています。ピザ2枚を囲んでミーテングができる程度の人数(どんなに多くても10人以下)でソフトウエアを開発するという意味です。何か「スパースなデータ表現」と似ていると思いませんか?音楽的に言うと、和声的にシンクロしている状態です。そう言った状態を沢山作り出しているわけです。

(注3)昨年(2017年)の私の中でのベスト本は、中島真志著の「After Bitcoin」です。現在のビットコインなどの仮想通貨のその後を予想した内容で、よくまとまっていて専門外の人にも分かりやすく書かれています。


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by チイ

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