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羽生さんの永世7冠達成 [風物]

 一昨日、羽生さんが竜王戦で渡辺竜王を破って永世竜王の称号を得て、ついに永世7冠のタイトルを手にした。思えば2008年竜王戦の同カードで、羽生さんが3連勝した後の4連敗で渡辺竜王に敗れてからの9年越しの記録達成になったわけだが、今回羽生さんは何故、渡辺竜王に勝つことができたのだろうか?


 2008年の竜王戦を見た私の率直な感想は、「世代交代が起った」ということである。テニスで言えば、ウインブルドンの大会で、グラフが初めてナブラチロワを破った時のようなものだ。何の世界でもそうだと思うが、世代交代が一度起きてしまうと、それ以降はベテランは新人にはまず勝てなくなってしまう。実際に羽生さんんもこれ以降の竜王戦で何度か渡辺竜王と対戦する機会があったが全て退けられている。


 今回の羽生さんの勝因の裏には、将棋ソフトの存在があるのではないか?というのが私の推論である。現在の最強の将棋ソフトの実力は羽生さんが100回戦って1回勝てる程度の強さだと言われている。つまりTOPの将棋ソフトの方が人間のTOP棋士より100倍(2桁)強いという事だ。これからの人間のTOP棋士が強くなる方法は、最強の将棋ソフトからどれだけ多くのことを学べるかが鍵になってくる。


 この場合学ぶと言っても、独自にこれまでに無かった新たな戦法を考えるとか、人間どうしの対戦の中で新たな戦法を見い出すというのとはちょっと意味が違ってくる。つまり人間より2桁以上も賢い存在から学ぶことになるのである。これはある意味、「神」から学ぶということと同じだと思う。そういう意味では、これからの将棋は「自然科学」になったと言えるのかもしれない。


 エンジニアの人で自分の作ったプログラミによく、created by ~のように自分の名前を付けている人がいたりとか、自然科学はcreate(創造)するものだと思っている人も多いと思うが、自然科学は基本的にはdiscover(発見)(注)だと思う。次の箴言を思い出す。「モーツァルトは彼の音楽をcreateしたのではなくて、すでに出来上がっていたものをdiscoverした。」


 将棋ソフトで、人間同士の感想戦のように大局の後に、将棋ソフトが負けた人間に対して人間が理解できるようなパターンで戦法を解説してくれるようなソフトは作れないものだろうか?又は棋士がその将棋ソフトと多くの大局をこなして行くに連れて、その棋士の弱点やこれから強くなる為に身に付けたらよい戦法を優先順位を付けて教えてくれるようなソフトは作れないものだろうか?これから出てくるかもしれない最強の棋士とは、棋士でありながらそういった将棋ソフトも自前で作れてしまうような人になっていくのかもしれない。

(注)discoverは、dis + coverでもともとの意味は、「覆いを取り去る」の意。


by チイ

 


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