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第3次AIブームの背後にあるもの [コンピューター]

 ある人がアルファベット(グーグル)のことを、「彼らを単に、技術やビジネスの観点だけからとらえてはならない。インターネットや人工知能技術の基層には、高みをめざす長い一神教(ユダヤ=キリスト教)の伝統で培われた普遍主義、ロジカルな真理を地上で実現しようとする強烈な理想主義がある。」と言っていた。

 一方でまた、日本のIT専門家の中で、ユダヤ=キリスト教の一神教を背景にしたシンギュラリティ仮説を本気で支持する者は、実はほとんどいないらしい。にもかかわらず、日本のIT業界は原則として、徹底した欧米追従であり、基本的に欧米技術を尊敬しているので、トピックスになっているビッグデータやAIについて、最新技術をキチンとフォローしようとする。さらに、技術的な細部の工夫や効率化に努力をそそぎ、短期的な成果をあげようと必死になるらしい。

 AGIである脳型AIには、「全脳エミュレーション」と「全脳アーキテクチャ」の2つがあるが、全脳エミュレーションは、脳の神経系のネットワーク構造の全てをナノボットを使ってスキャンしてコピーして、コンピュータ上で再現しようとするもの。(=マインド・アップローディング)まさに、「パターン主義」そのものだが、カーツワイルはその実現を本気で信じているようだ。(さすがにここまで来ると、私も???と思ってしまう。)全脳アーキテクチャは、脳の各部位ごとの機能をプログラムとして再現して、その後それらを結合する方式で、日本では、2015年に「全脳アーキテクチャ・イニシアティブ」というNPO法人として組織化されている。

 日本人は、ユダヤ=キリスト教のバックグラウンドにある、そのすさまじいまでの知的スケールに圧倒されてしまって、それを全面的に受け入れるのは難しい様だ。しかし、それを否定するのは簡単だが、それに代わる何か日本的なバックグラウンドがあるのかと言うと、???である。もう「和魂」などと言い出した途端に、TVのスイッチを切ってしまうのは私だけではないはずだ。結果、日本人の仕事は、人間世界に最後に接続する部分だけを、日本人独特の美意識を持ってやるしかなくなる。

 日本の工学部は、欧米の自然科学から、「唯物質論」を「唯物論」として間違って導入していて、それに「エジソンメソッド」(現象論的に物事をとらえてやっていく方法)と日本人独特のモノ作りに関する美意識みたいなものが加わった、寄せ集めの何かよく分からないものになってしまっている。さらに、そこには「パターン主義」が皆無なので、21世紀の工学という意味ではさらに分が悪い。また、日本の理学部はあってないようなものだと思う。どれだけ優秀な人がいたとしても、一石を投じるくらいが関の山だろう。水面に波紋を生じさせるくらいのことしかできない。

 結局の所、AGIも欧米に全てをおぜん立てしてもらって、最後の応用と実用化の部分で負けなければよいという考えでは、何度やっても、いつか来た道を繰り返すだけだ。故糸川英夫が昔日本の産業界が絶好調だった時代に、東京在住の牧師の話をよくしていた。「今日本は、自動車やビデオを作ることに関しては世界一でしょう。でも日本が絶対に忘れてはいけない事実がある。西洋の世界はそのギリギリの存在のためには、日本との関係を絶ってもその存続が可能だ」と。残念ながら、日本には技術やビジネスだけしかない。自らが戦術バカで戦略音痴であることを世界に向かって公言しているようなものだ。

by チイ


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