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Good vibrations: the role of music in Einstein's thinking [音楽]

 茂木さんのtwitterで、今回の重力波発見に関連して、アインシュタインの思考と音楽の関係性について書かれた論文があったので頑張って訳してみました。内容はかなり難しいです。(英語の得意な方は、最後の「参照サイト」の中で原文で読めます。)本文中で「青」で記載されている部分については、最後に書いてある「参照サイト」の中で実際の音が聴けます。本文を読みながら、実際の映像音を聴いてもらえれば、著者の言っていることがよく分かると思います。


良い振動:アインシュタインの思考における音楽の役割


Liam Viney

Piano Performance Fellow, The University of Queensland


 我々が科学の最新の並外れた大発見に驚嘆する時、それはアルバート・アインシュタインがどんな思想家であったのかを考える機会でもあるのです。20世紀の始まる20年も前に生まれて、それが正しいと証明されるのに21世紀の2番目の10年まで待たなければならなかったアイデアを考えつくことができた彼の心とはどんなものだったのでしょうか?重力波の存在を彼の一般相対性理論の最後の積み木として予言する責任を負っていた男は、しばしば舌を突き出して、電気毛シックの風刺画の人物にも帰せられます。それは、少し馬鹿げているが、他の人とはちょっと違った可愛い天才。本当の写真は多分そんなにカラフルではありません。アインシュタインは幅広い教育の産物であった。重要なことに、それはいたって多くの芸術や人間性を含んでいます。アインシュタインが熟達のヴァイオリニストだったことはあまり知られていませんし、彼が科学者になっていなかったら、自分は音楽家になっていたであろうと言っていたことはさらに知られていません。


 

私は音楽の空想の中に生きる。私は自分の人生を音楽の言葉によって見る。


 アインシュタインの思考における音楽の役割を見ることは、彼がどのようにして最も深遠な科学的なアイデアを形作ったかに光を当てることでもあるのです。彼の例は、音楽の科学的な複雑さに親密に関わる中で、彼は自分の理論に他に類を見ないような審美的な質を運ぶことができたことを示唆しています。彼は自分の科学が統一されて調和のとれた、単純に表現され、そして様式美の感覚を伝えるものであることを望んでいました。彼はイメージや直感によって科学を考えることは、しばしばそれは直接彼の音楽家としての経験から引き出され、後はそれらを論理や言葉や数学に変換するだけであることを告白しています。


天球の音楽


 重力波発見について考える多くのびっくりするような事の中で、それが特にアインシュタインの興味をそそったであろうものがあります。この信じられないような音。


LIGO 重力波の啼き声


 重力波を音波に変換する中で、我々は不可解なほどに遠くの銀河からの10億年前の爆発の残響(echo)を聴くことができるという驚くべき特権を持っています。その時空の波紋(ripple)は我々に届くまでに10億年を要し、真空を通して毎秒29万9千キロの猛烈な速さで進んでいきます。孤独なぴしゃりと打つようなバスドラムは、畏敬の念を起こさせる宇宙の背景雑音(background noise)から出現する文字通りの転移(transposition)を示しています。人の耳のより良いスーツにあつらえて、それは不気味なほどに水を入れたバケツの中に落とされた小石のように聴こえます。水の中に小石を落とすことが、本質的に時空で10億光年離れた巨大ブラックホールの衝突と同じ波紋の音の効果を生むことを考えるのは奇妙ではあります。奇妙なだけでなく、しかし相応しい。つまり、それは部分的に音の基本的な力は、そのまま動き、生命の信号、活力や創造に繫れることを示唆しています。それは拍手をする、共鳴するヴァイオリンの弦か、または毎秒100回お互いの周りを回る我々の太陽より30倍も大きいブラックホールで、置き換えられるであろう何かです。最初の2つの作用においては、変位させられた空気分子が隣の空気分子に突き当たります。振動は鼓膜のように、波が吸収されるか止められるというよりは、何かを打つまで続きます。宇宙の例では、それは変位させられ、異なる種類の波を作ったりする時空で、それは永遠に真空中を旅することができます。アインシュタインは、彼の予言が確かめられたことを大喜びすることは別として、重力の波紋の音に魅了されたことでしょう。アインシュタイン自身によれば、音楽形式の音は彼に人生の他の何よりも喜びを与えました。気晴らしや趣味を越えて、音楽は彼の一部でもあったので、彼の科学的な仕事の過程で重要な役割を果たしたように思われます。アインシュタインの2番目の妻であるエルザは、彼の物語を語りました。 1日は完全に物思いにふけって現れ、ピアノに放浪し、そして断続的にメモを書き留めながら半時間の間ピアノを弾きます。部屋の中に2週間消えたと思ったら(奇妙なピアノセッションが現れて)、それから彼は一般相対性理論の作業原案を草稿しました。もちろんピアノ演奏と一般相対性理論は、直接または具体的な意味では関係がありません。一つのレベルにおいて、この物語はアインシュタインに取っては、ピアノを弾くことは多くの人にとってのウォーキングと同じ効果を持っていることを示唆しています。歩行の思考プロセスは創造力を解放します。多くの世代の作家は言うまでもなく、明らかに古代ギリシャ人がそうしたようにベートーベンはそのことを知っていました。しかし、アインシュタインの心の中には、科学と音楽の深いレベルの関係性がありました。音楽がまさに彼の最も重要な科学的な発見の形で役割を果たした幾つかの証拠があるのです。どのようにを理解するためには、彼の二人のお好みの音楽の創作者、すなわち作曲家バッハとモーツァルトを知ることはもちろん、アインシュタインの音楽の背景についての何かを知ることは重要です。



ヴァイオリンのレッスン


 我々は、ハツラツとしたアインシュタインが容姿だけではなく、ヴァイオリンの演奏がよく知られたほとんど自由奔放な人で、そして公的な人としての著名な側面を持っていたことを忘れがちです。アインシュタインはしばしばその時代の偉大な音楽家の何人かと一緒に弦楽四重奏の上演のステージに立つのが見られましたし、その中で見分けられないくらい冷静に振舞うことができました。アインシュタインが音楽の演奏から得られた知的な刺激の範囲やそれが科学に及ぼした創造的な取り組みのインパクトは、多分過小評価されるべきではありません。アインシュタインが最も愛した2人の作曲家が、ヨーロッパのクラシック音楽の中で特に好意を持たれた取り組みの最も著名な実践者を代表しているのは偶然ではありません。すなわちそれは、形式的な構造に仕える調性です。調性(tonality)は概念であり、ほぼすべての人が専門家としての訓練を受けていようがいまいが、ほとんど直感的に知っていて、それは重力によく似ています。調性の中心音(tonal centre)を持った音楽は約500年の間存在していて、イタリアのルネサンスからから始まって今日の世俗の映画やTV音楽に至る音楽の中で聴くことができます。実際に重力の類似性は、通常調性を説明する際に隠喩に拡張されます。すなわちそれは重力的な中心を持った音楽で、他のどのピッチよりも”ホームベース”のように最も安定して聴こえるピッチです。太陽系の惑星システムの中の太陽のようなものです。他は、調的な中心のピッチの周りの”軌道(orbit)”を 中心の方向に重力的に引っ張られる度合いを変えながら 調節します。幾つかはより弱く遠く離れて、他はより近くもっと強く引っ張られるのを感じながら。バッハの第3番のヴァイオリン・パルティータからのプレリュードを聴く多くの人は、この中央ピッチ(それは主音(tonic)と呼ばれる)を単に冒頭を聴いただけで識別することができるし、そして次に最も重要に聴こえる音なら何でもハミングすることができます。


Johann Sebastian Bach - Partita No. 3, BWV 1006 | Hilary Hahn.


 もちろん物事は常にもっと複雑で、そして実際の物語は、バッハやモーツァルトが秩序とバランスの取れた力のシステムの中で構築できたものです。バッハの音楽は、音楽的な対位法(counterpoint)の芸術と同義です。すなわち別の旋律の層にする方法で、(それは通常2から5声の間で十分です。)それらは独立性を保ちながらも、しかし統一された方法で一緒に働きます。このバッハのハ短調BWV542のオルガンのためのフーガのクリップは、譜面が読めない人でも鑑賞できるような方法で対位法の複雑さを描いています。


Bach, “Great Fuga in G minor, BWV 542.


 一つのメロディーまたは声部は2つになり、次に3つになり、そしてついには4つになります。その”構築的”な隠喩は容易に明らかです。 音楽は美しく構築され、複雑で華麗だが均衡してそして均整の取れたように感じられます。まるで大聖堂や宮殿または実に科学の公式のように。しかし、おそらくアインシュタインの心により近かったのはモーツァルトであろう。彼の音楽的な形成期はヨーロッパの”モーツァルトに戻ろう”運動に最も近い。それは知覚の退廃とワーグナーの音楽的耽溺と彼の途方もなく長いオペラへの反動として起こりました。ワーグナーが調性システムをその極限まで引き伸ばして、20世紀のヨーロッパの芸術音楽の崩壊の前兆となった時に、モーツァルトのイメージは再び輝いて、様式的な完璧性と美の表現を両立して統合する取り組みを具現化するものとみなされました。モーツァルトの第41番交響曲、K551(然るべく”Jupiter”のニックネームがついている)の終楽章はアインシュタインがこの音楽の中で見たであろうものの手頃な例を提供しています。音楽の爽快な活気は別にして、第4楽章はモーツァルトの時代の最も洗練された様式デザイン(18世紀後半のソナタ形式)とバッハの時代の最も洗練された質感(18世紀前半のフーガ)を組み合わせた注目に値するものです。アインシュタインはおそらくはJupiterの最後の数分、その終結部でのモーツァルトが創作した並外れた音楽的な構造を特に楽しんだでしょう。サスペンスに満ちた休止の後で、そして彼の旋律の幾つかが、丁度楽しむために逆さまにされ、モーツァルトは最初の部分から5つの音楽的な主題を(旋律のようだが、しかし短く、断片的にされたもの)取ってきて、全てがお互いのトップになるようにそれらを層化しています。 辛うじて音楽的な構築の複雑な科学を通して不協和音を避けながら 。相対論に含まれる数学と同様に、リアルタイムでここで起きていることに従うのは実際極めて難しい。終結部は、10:24の周りに始まるが、しかし全体の動きは本当に耳を傾ける必要があります。


Mozart Symphony 41 C Major - KV 551 - 4th Movement Molto Allegro


 Jupiterのそれのように音楽に含まれる計算に反して、学ばれた複雑さは決してこれらの作曲家に取ってそれ自体が手段ではありませんでした。モーツァルトは一方で最も少ない数の音符しか使っていないが、ほとんどの作曲家以上の表現に対する名声を得ています。節約的に表現された趣の脆弱な美は、イ長調ピアノ協奏曲K488からの遅い楽章の中に聴くことができます。


Clara Haskel “Piano Concerto No. 23” Mozart(2. Mov.).


 これはどちらかと言うと言い古された観念 モーツァルトは彼の音楽を創造(create)したのではなくて、既に出来上がっていたものを発見(discover)した と言うよりは今に繋がるような音楽です。アインシュタインは彼の理論の展望に、同様の純度、節約、調和を求めました。我々が丁度今、世紀の科学的大発見を祝っている時に、この音楽の脚注がどんな重要性を持っているのだろうか?私はそれは、我々の理解の方法 この中で、この特別に明らかな天才の心が働いているのだが を広げ、今日何の教訓を学ぶことができるかを熟考する機会であると信じます。アインシュタインの多次元の思考の取り組みの何が際立っているのだろうか?彼は学問分野の間に相補性を見て、決して科学のサイロ化や分断された瓶の中の人間性は夢見なかった。容赦のない環境の破局との戦いの中で、科学技術の重要性がさらに論争の余地が無くなる様に、(注1)STEMのような教育グループの取り組みの重要性は明らかのように見えます。しかしアインシュタインの例から、STEMにおける革新は芸術から来る所の思考のモードを必要とすることは明らかです。それは、彼が音楽の中に見出した構築的で様式的な美は、科学理論のひらめきとデザインを喚起することができるという考えです。音楽が彼を鼓舞し導いた。すなわちそれは、彼の机に座っている間はアクセスすることができない頭の部分を刺激しました。それは彼にパターンの感覚、情、勘、直観を与えました。 言葉を含まない思考の方法としての記述することができる官能的な情報の全ての仕方です。ある者はグループに芸術を含めるように(注2)STEAMを示唆する。または読み書きを含めるように(注3)STREAMを示唆する。しかし、もし人間の知的努力が単に同等に扱われたら、それは偉大なのだろうか?アインシュタインは知識を創るために世界を経験しそして解釈できるように、心の多くの部分を使いました。そして再び、彼が従うべき悪い例ではないことが証明されています。



(注1)Science,Technology,Engineering,and Mathematics


(注2)Science,Technology,Engineering,Arts,and Mathematics


(注3)Science,Technology,Reading & Writing,Engineering,Arts,and Mathematics


(参照サイト)

 http://theconversation.com/good-vibrations-the-role-of-music-in-einsteins-thinking-54725


by チイ



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