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フィギュア~ノーミスの壁~ [スポーツ]

 昨日、一昨日のソチ冬季五輪の女子フィギュアをご覧になった方も多いと思う。特に女子は上位3人のだれが金メダルを取ってもおかしくないような激戦だった。私は、ショートの浅田真央ちゃんの演技はとても最後まで見ることはできなかった。しかし、フリーでは見事に立て直して、最高の演技をしてくれて最後の方には本当に涙が出てきた。本当にお疲れさまでした!!

 私の女子フィギュアの理想形は、サラエボで優勝したカタリ―ナ・ビットの滑りだ。しかし女子フィギュアもここ数十年くらいの間にジャンプの技術難易度が増していって、今のル―ルで全盛期のビットが優勝できたかどうかはかなり疑わしい。今のアスリートは、皆、まさに紙一重のぎりぎりの所で戦っているのだ。その大変さを思うと、本当に胸が熱くなってしまう。

 今回男子フィギュアは日本の羽生結弦が圧倒的な強さで優勝したが、試合が終わってから、私は少し変な気分になった。というのも私がこれまで見てきた歴代の優勝者はジャンプを含めて全てほぼノーミスで演じきっていたからだ。男子は4回転ジャンプを跳ぶのが当たり前になってきていて、このままジャンプの技術難易度が上がっていくと、しまいには本当に優勝者でショート、フリーとノーミスで滑り切る人はいなくなってしまうかもしれない。

 私は(他の人もそうだと思うが)、ジャンプの転倒を見るのは好きではない。こけてしまうと、そこで演技の流れが完全に断ち切られてしまうからだ。もともと優雅さや美しさを競い合うフィギュアで転倒するということは最も恥ずかしいことで、そのリスクを常に背負いながら高度なジャンプを跳ばなければいけない今のフィギュアは他人事ではなく、本当に大変だと思う。(ピアノの演奏でたとえるなら、難しいパッセージが弾けないで、そこで止まってしまうようなものだ。)

 私個人としては、今回のフリーの最高得点者は浅田真央で、優勝者はキム・ヨナだと思っている。真央ちゃんは残念だけれども、アスリートとしては後半のフィギュア人生で、キム・ヨナに完全に抜かれてしまった。(多分前回のバンクーバー五輪の前あたりまでは真央ちゃんの方がキム・ヨナより実力が上だったが、そのあたりから完全に追い抜かれてしまった。)実際、今回のショート、フリーともにキム・ヨナはほぼノーミスだった。前回のバンクーバーからミスはほとんどしていないし、その安定感は女子フィギュアの女王と呼ぶにふさわしいものだった。今回は2連覇がかかっていたこともあり、優勝していても全くおかしくない出来だったように思う。

 ノーミスというと、私はショパコンのようなピアノコンクールを思い出してしまう。フィギュアと同じで、有名な国際ピアノコンクールで、ほぼノーミスで優勝を争えるのはほんの数名の上位者だけだ。私はショパコンなどでの上位者の演奏を聴いている時も、他人事とは思えないくらいガチガチに緊張して聴いている。キース・ジャレットのコンサートを聴きに行った時でも、最初の数10分くらいの間は、聴いているだけでガチガチに緊張してしまう。(即興演奏だから好きに弾いているんだから、何で緊張するの?と思われるかもしれないが、実際そういった雰囲気の中での演奏になるのです。)

 アスリートや演奏家は皆ノーミスの壁に悩まされ、苦しめられる。もちろん、ノーミスだからといって、それが即感動的な演技や演奏に繋がるわけでもない。しかし、ノーミスの壁を克服しない限り、本当の感動はないことも事実だと思う。

by チイ


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