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日本の家電大手の今後 [製品]

 リーマンショック後のここ数年で、日本の電機大手の中での明暗がはっきりしてきたように思える。総合電機といわれる産業系の重電部門を持つ、日立、東芝、三菱の業績が好調で、逆にそれ以外の短小薄型の民生系の家電商品を主力としてきた家電大手はどこも巨額の赤字へと落ち込んで収益の出せない体質になってきている。こうなった理由は簡単で、総合電機はもともと低い家電依存度であったため、それを切ることで業績回復することができたが、家電を主軸にするメーカーではそれができなかったため、現在に至るまでその悪い影響が尾を引いてしまっているためだ。

 2000年はじめのアップルの台頭以来、家電製品(特に短小薄型の家電製品)は従来の家電産業が提供するべきものではなくなってしまった。もっと具体的に言うと、現在の家電業界はネット分野での競争になっていて、そこでの主役はソフトウエアになってしまっているからだ。スマートフォンに続く家電最後のチャンスと言われているスマートテレビは、年内にアップルがiTVを出してくると言われていて、その内容はまだ定かではないが、いずれにしてもiCloud(サーバー)側とクライアント側の(iOS+Webkit+html5)のソフトウエアの設計がメインになるのは間違いない。(必要なら、パネルや受像機は今回、鴻海(ホンハイ)と提携したシャープのハードウエアを使ってくることになると思うが。)

 一方、日本の家電メーカーを見ていると、今年4月、経産省主導の中小型液晶パネル生産のジャパンディスプレイ(東芝、日立、ソニーの合弁)が発足し、ソニーとパナソニックがスマートTV用の有機ELのパネル生産で大連立を組むという話も出ているようだが、ハードウエアで韓国のサムスン電子を意識した後ろ向きの戦いになってしまっている。本来なら、前向きにアップルを意識して本命のソフトウエア路線で勝負を挑むくらいの覚悟をもってやらないといけないのだろうが、実情は後ろ向きに勝てそうなハードでサムスンに挑むしかないのが現実なのだろう。ただ、日本がこの先も家電産業で生きていきたいのなら、どこかの時点で会社の中身をハード→ソフトに完全に入れ替えなければいけない。目先の利益や今出来ることに手を煩わせていると、この時期がどんどん遅れて行って変わるチャンスを失ってしまう。

 アップルは自らがその流れを作った。しかし日本の家電メーカーはその流れを作り出すことが出来なかった。今、日本の家電メーカーにできることはアップルが作ったその流れにうまく乗っかることしかない。(もっとも、この流れとは別に新たな本流を自ら作りだすことや、ネットに全く繋がりそうにない製品を従来通りのハードの性能や品質を極めるだけの製品作りみたいなものもあるのかもしれない。)私は、個人的には、日本はもうDRAMなどのメモリや液晶や有機ELなどのパネル、撮像素子などの設計、生産からは早く手を引いた方がいいと思っている。日本はこれらの製品で今まで十分過ぎるくらい儲けてきた。細かい性能や品質の部分はまだ日本人にしかできないような所もあると思うが、もう十分に東南アジアやそれ以外の国でも開発可能な枯れた技術であることも間違いない。後追いで、どうしても変わらなければいけないような時、現在うまくいっているもの、儲かっているものの将来性を考えて、まだうまくいっている時にそれらを勇気を持って捨てる覚悟も必要だと思う。

 これからの21世紀の100年間くらいの間、とにかく日本人はコンピュータ・サイエンス関連のソフトウエアを死に物狂いでやった方がいいと思う。大学も東大が総合電機と同じで、どれもこれにも手をだして世界的にあまりぱっとするようなものがないのであれば、有名私大でコンピュータ・サイエンスに特化した学部を作り、世界的に通用するようなソフトエンジニアやハッカーを輩出するようなシステムを作っても面白いのではないだろうか?最初のうちは、世界的に著名なコンピュータ・サイエンスの教授陣やハッカーを高額で招集して、世界に通用する日本のコンピュータ・サイエンスのメッカを作ってしまうのだ。(この私大のこの学部は東大より世界的にもランクが上だみたいな学部がたくさんできてくると、日本国内のつまらない大学の序列みたいなものもだんだんとなくなっていく。)

by チイ


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