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ジョブズ氏逝去~大規模量産工場から大規模データセンターの時代へ~ [経済]

 今日、10月6日、アップルのスティーブ・ジョブズ氏が亡くなった。享年56歳、まだまだ若すぎる死である。確かCEOを退任してからまだ2カ月もたっていないことを考えると、本当に最後までアップルのために頑張り続けた結果なのだろう。(ちなみに、昨日発表があった、iPhone4Sの4Sは、For Steve のことらしいが本当なのかな?)カリスマを失ったアップルは、これから苦境に立たされるかもしれない。これを機に、米のグーグルやマイクロソフト、日本の家電メーカなども巻き返しを狙ってくに違いない。

 21世紀は、先進国では、20世紀の大規模量産工場に代わって、大規模データセンターが次々と建設され、それがまさに時代の主役になっていくだろう。ジョブズは、宿主PC同期のコンパニオンデバイスからはじめて、iCloudで宿主を自社データセンターのクラウド同期にする前段階までやって、その最終形は見届けないまま死んでしまった。アップルは既に自社のハード部品などは中国などの国外で生産するようにして、20世紀型の大規模量産工場はどんどん海外に出す方向で進めている。最終的には、大規模量産工場は本当に重要なものだけをひとつくらい国内に残して、あとは全て海外に移して、国内では、大規模データセンターの運営と管理がメイン業務となるような仕事のスタイルにこれからなっていくのだろう。

 日本でもこの4月に総務省が「クラウド特区」なるものを作って、やっていこうとするような計画もあるようだが、まだまだ障害は大きいようだ。大規模データセンターは、一基当たり作るのに、数千億円はかかってしまう。数基作れば、かるく1兆円は越してしまう。今特に日本の家電メーカーはどこも儲かってないので、自社で1基分だけでも資金を捻出できる企業はほとんどないだろう。最初は、国がお金を出して、日本の大学、官民が一体になって立ち上げて、回り始めたら、余力のある企業から順番に払い下げていくような方法を取らないと、アップルのように潤沢な資金を持って、個別の企業だけで独自に回していくのは、技術的にも、資金的にも難しいだろう。

 今は、円高で、電力などの問題もかかえて、日本企業も海外に出ていくチャンスだ。その際、もう過去のものになってしまった、大規模量産工場から順に外に出していくべきだろう。東北の被災地の復興などに、時代の流れに逆行するような、日本人しか運用できないような極みの粋を集めた大規模量産工場を作ったりしないことだ。そしてクラウドのデータなどもシンガポールや中国などの大規模データセンターに頼って預けるような安易な道を取らないことだ。クラウドが完成された理想形に近づくにつれて、クライアント製品群はリッチクライアントからよりシンクライアントに移行していくはずだ。

 ジョブズが最後まで見ることができなかった、21世紀のモノつくりは、これからどんな方向に向かって進んでいくのだろうか?ひとつだけはっきり言えることは、それは20世紀型の大規模量産工場の延長線上にはもはやないということだ。今、日本人に一番問われている能力は、その1千万台近くにもなる大規模データセンターのサーバーに入れるプログラムやデータを創造するだけの想像力があるかどうかということだと思う。

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    Steve Jobs  1955-2011   ご冥福をお祈り申し上げます。

by チイ


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